丹沢をホームマウンテンにしていると、一つの課題に直面する。
それは岩稜帯の経験不足だ。
大山や塔ノ岳は体力を鍛えるには最適だが、鎖場や岩場を連続して通過するようなルートは限られる。
この夏、西黒尾根や北アルプス縦走を視野に入れている私にとって、体力だけではなく岩稜帯への慣れも必要だった。
そこで選んだのが、山梨県の十二ヶ岳である。
コースタイム
| 時刻 | ポイント |
|---|---|
| 09:40 | 毛無山登山口バス停 |
| 10:41 | 毛無山 |
| 11:42 | 十一ヶ岳 |
| 11:57 | 十二ヶ岳吊橋 |
| 12:35 | 十二ヶ岳 |
| 13:12 | 金山 |
| 13:26 | 節刀ヶ岳 |
| 13:59 | 鬼ヶ岳 |
| 14:13 | 雪頭ヶ岳 |
| 15:49 | ゴール |
距離:11.0km
累積標高差:約1,200m
行動時間:6時間09分
毛無山までは普通の登山
毛無山までは急登こそあるものの、特別な難しさはない。

むしろ富士山を正面に眺めながら登ることができる気持ちの良い区間だ。

毛無山山頂からも大きな富士山が見え、丹沢とはまた違ったスケール感を味わえる。

しかし、本番はここからだった。
十二ヶ岳の本領は十一ヶ岳から始まる
一ヶ岳、二ヶ岳、三ヶ岳と進むにつれて徐々にロープ場や鎖場が増えてくる。


そして十一ヶ岳に到着した瞬間、目の前に現れる十二ヶ岳の姿に圧倒される。

「本当にあそこを通るのか」
そう思わせる威圧感がある。
実際、十一ヶ岳から十二ヶ岳吊橋までの区間は鎖場の連続だった。
短い鎖場ではない。
下りのたびに鎖が現れ、また鎖、さらに鎖。

正直なところ、練習のために来たとはいえ心が折れそうになった。
十二ヶ岳吊橋は想像以上に高度感がある
このルートの名物が十二ヶ岳吊橋だ。

長さそのものはそれほどではないが、足元の高度感と横揺れが独特の緊張感を生み出している。
高所恐怖症の人には厳しいかもしれない。
ただし、この橋を渡ったから終わりではない。
むしろここからが核心部である。
山頂まで続く鎖
吊橋を渡ると、すぐに登りの鎖場が始まる。

そして驚くことに、それがなかなか終わらない。
山頂直下まで鎖が続く。
登りは比較的どうにかなる。
問題は下りだ。

どこに足を置き、どのタイミングで体重を移動させるのか。
今回の山行では、その答えを完全に掴むことはできなかった。
それでも経験値としては非常に大きい。
机上の知識ではなく、実際に身体で覚えるしかない世界だからだ。
金山から先は穏やかな縦走路
金山まで到達すると、ようやく緊張感から解放される。

事前に調べていた通り、鎖場の核心部はほぼ終了。

節刀ヶ岳、鬼ヶ岳、雪頭ヶ岳と歩いていく。
鬼ヶ岳は名前の通り荒々しい雰囲気を持つ山で、雪頭ヶ岳からの富士山展望も素晴らしかった。

ここまで来ると、精神的な余裕も戻ってくる。
十二ヶ岳区間のインパクトが強烈だったことを改めて実感した。
十二ヶ岳は良い練習になるのか
結論から言えば、非常に良い練習になる。
ただし、「岩場のある低山」という軽い気持ちで行く山ではない。
特に十一ヶ岳から金山区間は、継続的に鎖場へ対応する能力が求められる。
丹沢ではなかなか経験できない種類の登山であり、西黒尾根や北アルプスの前段階としては非常に有効だと感じた。
一方で、このレベルになるとヘルメット着用も十分に検討するべきだろう。
実際に歩いてみて、転倒や落石へのリスクを意識する場面は少なくなかった。
おわりに
体力だけでは山は登れない。
岩場への対応力、高度感への慣れ、そして冷静な判断力。
十二ヶ岳は、それらを試してくる山だった。
今回の山行で、自分はまだまだ未熟だと感じた。
しかし同時に、西黒尾根や北アルプスへ向けた課題も明確になった。
厳しい鎖場を越えた先に見えた富士山は、その苦労に十分見合う景色だった。






