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鍋割山〜塔ノ岳〜三ノ塔 縦走【21.4km・9時間・ザック9kg】歩荷トレーニングとトレッキングポール初実戦の記録

Posted on 2026年4月27日2026年5月24日 by XUONIX
INDEX
1 負荷をかけるという選択
2 沢から稜線へ:鍋割山までのアプローチ
3 稜線の持久戦:塔ノ岳までのリズム
4 技術区間:表尾根と鎖場の変化
5 静と疲労:三ノ塔とその先
6 装備の検証:ザック・ポール・行動食
7 通信という安心:衛星接続の現実
8 総括:できた山行ではなく、見えた山行

負荷をかけるという選択

山行の質は、快適さではなく「崩れないかどうか」で測るべきだと思っている。
今回の目的は、トレッキングポールの導入、歩荷による重量負荷、そして衛星通信の検証。この三つを同時に成立させることだった。

ルートは鍋割山から塔ノ岳、さらに三ノ塔へと抜ける縦走。距離21km、累積標高約1,600m。日帰りとしては長めだが、負荷をかけるにはちょうどいい。

今回のコースタイムは以下の通り。

時刻行動
07:09大倉バス停 出発
07:56黒竜の滝
08:21二俣
09:16後沢乗越
10:12鍋割山
10:27鍋割山荘
11:15大丸
11:36塔ノ岳
12:02尊仏山荘
12:41塔ノ岳 出発
13:19行者ヶ岳
14:05烏尾山
14:11三ノ塔
16:19大倉バス停 着

(行動時間:9時間10分 / 距離:21.4km / 累積標高:約1,650m)

© OpenStreetMap contributors

数字としては成立しているが、今回の本質はそこではない。負荷をかけたときに、どこで崩れるのか。その確認だった。


沢から稜線へ:鍋割山までのアプローチ

大倉を出発し、沢沿いのルートへ入る。黒竜の滝、二俣と通過し、渡渉を繰り返しながら高度を上げていく。序盤としては穏やかだが、確実に脚を使わせる構成だ。

鍋割山に到達した時点で、水を2L追加。一時的にザックは約9kgとなる。歩荷としては軽量だが、日帰り装備としては明確な負荷。ここで重要なのは重量そのものではなく、その影響をどう受けるかだ。

腰に乗せる意識はあったものの、時間の経過とともに肩へと負担が移行していく。この段階で既に、パッキングとハーネス調整の甘さが露呈していた。


稜線の持久戦:塔ノ岳までのリズム

鍋割山から稜線に出ると、景色は開けるが楽になるわけではない。小丸、大丸と細かいアップダウンを繰り返し、一定のリズムを維持し続けることが求められる。

塔ノ岳に近づくにつれて人は増え、山頂は賑わいを見せていた。工事の影響もあり、どこか落ち着かない空気が流れている。尊仏山荘でコーヒーを飲み、短時間の休憩。完全に止まるのではなく、流れを切らない程度に回復させる。このバランスが長時間行動では重要になる。


技術区間:表尾根と鎖場の変化

塔ノ岳から表尾根へ。木ノ又小屋を通過し、新大日でトレッキングポールを収納する。ここから先は、道具に頼るよりも身体のバランスで進む区間に変わる。

行者ヶ岳の鎖場では、ほぼ鎖を使わずに通過できた。これまでの経験の積み重ねが形になり始めている。ただし、それはあくまで条件付きだ。環境が変われば、同じ動きは通用しない。

技術が伸びている実感と、限界がどこにあるのか分からない不確実さ。その両方を抱えながら進むことになる。


静と疲労:三ノ塔とその先

烏尾山を越え、三ノ塔へ。塔ノ岳の喧騒とは対照的に、ここには静けさがある。視界は開け、歩いてきた稜線が一望できる。

しかし、山行としての核心はここからだった。三ノ塔から大倉へ下る樹林帯。技術的な難易度は高くないにもかかわらず、疲労と単調さが重なり、精神的な消耗が強くなる。

長い下りは身体ではなく集中力を削る。「難しくないのに辛い区間」にどう向き合うか。この課題は明確に残った。


装備の検証:ザック・ポール・行動食

ザックの重量は最大9kg。数値としては問題ないが、肩への痛みが残った。これは体力の問題ではなく、荷重分散とパッキングの技術不足だ。

トレッキングポールについても同様で、使う場面と使わない場面の切り替えが曖昧だった。適切に使えば負担軽減になるが、使い方を誤れば単なる障害物になる。

行動食はドリンク中心。食欲が落ちる状況では合理的だが、持続性という観点では改善の余地がある。


通信という安心:衛星接続の現実

今回導入した衛星通信は、気付かないうちに接続されているという点で、従来とは異なる安心感をもたらした。

ただし、それはあくまで通信手段があるというだけで、安全を保証するものではない。判断と行動の責任は変わらず自分にある。この前提は崩れない。


総括:できた山行ではなく、見えた山行

今回の縦走は成立している。距離も時間も、負荷も許容範囲内に収まっている。

だが重要なのは、装備と身体の間にあるズレが明確になったことだ。体力で押し切れている部分と、技術が追いついていない部分。その境界がはっきりと見えた。

負荷をかけたときにしか見えないものがある。その輪郭を掴めたこと自体が、今回の成果だった。

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