東京都心からわずか1時間半。にも関わらず、ここには静寂の森と変化に富んだ尾根歩き、少しの岩場と達成感が待っている。今回のターゲットは「高水三山」、青梅丘陵の隠れた縦走ルートだ。春の光が差し込む森を単独で駆け抜け、体と感覚をフルに使いながら山行を楽しむ。アクセスの良さに惑わされるなかれ、そこには十分な運動量とスリルが待っている──そんな期待を胸に、私はスタート地点の日向和田駅に立った。
高水三山の概要
高水三山は、東京都西部の奥多摩地域に位置する高水山・岩茸石山・惣岳山の三つの山の総称だ。標高は500〜700m程度と控えめで、初心者にも登りやすいが、尾根道や岩場、変化に富んだ縦走路が魅力の山々である。春は新緑と光が美しく、秋には紅葉も楽しめる。東京都心からのアクセスが良く、日帰りでの縦走が可能なため、休日登山者に人気のルートだ。
コースタイム表
| 時刻 | 場所 | 行動時間 |
|---|---|---|
| 06:05 | 出発(駅等) | — |
| 07:18 | 日向和田駅 | 6分 |
| 07:24 | 青梅丘陵ハイキングコース登り口 | 17分 |
| 07:41 | 日向和田分岐 | 1分 |
| 07:49 | 第一ベンチ | 10分 |
| 08:00 | 第二鉄塔跡地 | 5分 |
| 08:05 | 黒仁田分岐 | 8分 |
| 08:13 | 第三鉄塔跡地 | 8分 |
| 08:21 | 三方山 | 8分 |
| 08:32 | ノスザワ峠 | 4分 |
| 08:36 | マスガタ山 | 7分 |
| 08:42 | 物見山 | 5分 |
| 08:49 | 名郷峠 | 3分 |
| 08:52 | 辛垣城跡名郷峠口 | 6分 |
| 08:58 | 辛垣山 | 7分 |
| 09:05 | 辛垣城跡雷電山口 | 2分 |
| 09:09 | 雷電山南峰 | 11分 |
| 09:21 | 雷電山 | 20分 |
| 09:41 | 榎峠 | 19分 |
| 10:02 | 見晴し広場 | 18分 |
| 10:20 | ナチャギリ林道雷電山分岐 | 4分 |
| 10:25 | 永栗ノ峰 | 11分 |
| 10:37 | 分岐(高水山・上成木・軍畑駅) | 7分 |
| 10:44 | 常福院 | 5分 |
| 10:49 | 高水山 | 23分 |
| 11:12 | 岩茸石山 | 8分 |
| 11:22 | 馬仏峠 | 9分 |
| 11:32 | 馬仏山 | 24分 |
| 11:57 | 惣岳山 | 15分 |
| 12:12 | 沢井尾根分岐 | 18分 |
| 12:30 | 沢井駅方面分岐 | 20分 |
| 12:50 | 丸山 | 11分 |
| 13:01 | 樋口入 | 24分 |
| 13:26 | 沢井第一配水所 | 11分 |
| 13:39 | ゴール(軍畑駅) | — |
合計距離:16.1 km
累積標高:登り 1,352 m / 下り 1,329 m
休憩時間含む合計:6時間14分
1. 都心を抜け、静寂の山へ
電車は登山者で混雑していたが、日向和田駅で降りたのは私一人。街の喧騒から切り離された瞬間、静寂と森の香りが迎えてくれる。駅からハイキングコースへ向かう足取りは軽く、森の空気を胸いっぱいに吸い込む。

2. 小刻みに標高を稼ぐ序盤
登り口を進むと第一ベンチ、第二鉄塔跡地、黒仁田分岐とテンポよく標高を稼ぐ。道は歩きやすく、森林に囲まれた尾根道はまるで自然のジムのようだ。三方山を通過し、ノスザワ峠、マスガタ山、物見山とテンポよくピークを踏む。名郷峠を越える頃には、体に登山のリズムが染み込んでくる。

3. 岩場のスリルと開けた景色
辛垣城跡方面に進むと辛垣山の小さな岩場が現れ、少しスリルを味わえる。手をかけて登る岩の感触は、単調な尾根歩きに変化を与えてくれる。雷電山の南峰を越えると視界が開け、青梅の町並みと新緑の山肌が目に飛び込む。息を整えつつ立ち止まり、景色を胸いっぱいに吸い込む瞬間がここにはある。
4. 高水山と常福院の静けさ
榎峠を越え見晴し広場で小休止。ナチャギリ林道の分岐を経て、永栗ノ峰へ。分岐で高水山方面に向かうと常福院の鳥居が現れ、山頂にはお賽銭が並ぶ。登山者たちのざわめきの中、どこか神聖な空気が漂い、静かな時間を感じることができる。


5. 岩茸石山から惣岳山まで
高水山を後にして岩茸石山へ。標高は控えめながら、周囲の木々と岩の造形が自然の美しさを見せてくれる。馬仏峠を経て馬仏山、惣岳山へ進む。途中の岩場で少しスリルを味わいながら、ピンクテープや道標に助けられて安全に進むことができた。丸山周辺の破線ルートでは、目印を何度も確認しながら慎重に歩いた。


6. ゴールまでの爽快な下山
丸山を越え、樋口入、沢井第一配水所を経て軍畑駅へゴール。距離16.1km、累積標高差は登り1,352m、下り1,329m。終始歩きやすく、体力度4程度の縦走としては程よい負荷だ。春の陽光に照らされた森の中を歩く爽快感と、最後に味わう達成感がこのコースの魅力である。

まとめ
今回の高水三山縦走は、東京都心からのアクセスの良さにも関わらず、十分な運動量と変化に富んだルート、森の静けさ、そして少しの岩場でのスリルを楽しめる山行となった。高水三山だけで縦走を完結させたことで、都市近郊の山行としての達成感も十分である。
歩きやすいルートと目印の整備により、単独行でも安心して歩ける一方、破線ルートや岩場では慎重さが求められる場面もあり、登山者のスキル向上にもつながる。春の新緑と光の中を駆け抜ける爽快感は、都市近郊の山ならではの贅沢だ。
東京都内の隠れた名縦走ルートとして、高水三山は季節を問わず多くの登山者におすすめできる山行体験である。





