2025年11月15日。早朝、私は大倉バス停に立っていた。目指すは蛭ヶ岳—日帰りで往復する「蛭トン」。今日、全身で山を刻む修行の一日が始まる。
空は晴れ渡り、冷気が肺を突く。まずは大倉バス停からスタート。足元に落ち葉を踏みしめる音が静寂を破る。塔ノ岳までは比較的穏やかな道のりだが、心を整え、呼吸を整える——これも修験者の歩みだ。

コースタイム
| 時刻 | 場所 | 移動時間 |
|---|---|---|
| 7:06 | 大倉バス停 | - |
| 7:10 | 大倉山の家 | 4分 |
| 7:21 | 丹沢ベース | 11分 |
| 7:28 | 観音茶屋 | 7分 |
| 7:42 | 雑事場ノ平 | 14分 |
| 7:46 | 見晴茶屋 | 4分 |
| 7:59 | 一本松 | 13分 |
| 8:13 | 駒止茶屋 | 14分 |
| 8:21 | 堀山 | 8分 |
| 8:34 | 堀山の家 | 13分 |
| 9:07 | 天神尾根分岐 | 18分 |
| 9:21 | 花立山荘 | 14分 |
| 9:26 | 花立ノ頭 | 5分 |
| 9:42 | 金冷シ | 16分 |
| 9:44 | 塔ノ岳 | 2分 |
| 10:04 | 尊仏山荘 | 20分 |
| 10:16 | 日高 | 12分 |
| 10:20 | 竜ヶ馬場休憩所 | 4分 |
| 10:35 | 竜ヶ馬場 | 15分 |
| 10:36 | みやま山荘 | 1分 |
| 10:48 | 丹沢山 | 12分 |
| 11:11 | 早戸川乗越 | 9分 |
| 11:15 | 箒杉沢ノ頭 | 4分 |
| 11:21 | 不動ノ峰休憩所 | 6分 |
| 11:29 | 不動ノ峰 | 8分 |
| 11:40 | 棚沢ノ頭 | 11分 |
| 11:46 | 鬼ヶ岩ノ頭 | 6分 |
| 11:53 | 鬼ヶ岩 | 7分 |
| 12:06 | 中ノ沢乗越 | 13分 |
| 12:09 | 蛭ヶ岳山荘 | 3分 |
| 12:36 | 蛭ヶ岳 | 27分 |
| 12:50 | 蛭ヶ岳山荘 | 12分 |
| 13:00 | 中ノ沢乗越 | 10分 |
| 13:09 | 鬼ヶ岩ノ頭 | 9分 |
| 13:17 | 棚沢ノ頭 | 8分 |
| 13:22 | 不動ノ峰 | 5分 |
| 13:33 | 不動ノ峰休憩所 | 11分 |
| 13:48 | 早戸川乗越 | 15分 |
| 13:53 | 丹沢山 | 1分 |
| 14:06 | みやま山荘 | 13分 |
| 14:10 | 竜ヶ馬場 | 4分 |
| 14:21 | 竜ヶ馬場休憩所 | 11分 |
| 14:43 | 日高 | 22分 |
| 14:44 | 尊仏山荘 | 1分 |
| 14:56 | 塔ノ岳 | 12分 |
| 15:01 | 金冷シ | 5分 |
| 15:07 | 花立ノ頭 | 6分 |
| 15:24 | 花立山荘 | 17分 |
| 15:39 | 天神尾根分岐 | 15分 |
| 15:48 | 堀山の家 | 9分 |
| 15:54 | 堀山 | 6分 |
| 16:08 | 駒止茶屋 | 14分 |
| 16:19 | 一本松 | 11分 |
| 16:22 | 見晴茶屋 | 3分 |
| 16:33 | 雑事場ノ平 | 11分 |
| 16:39 | 観音茶屋 | 6分 |
| 16:47 | 丹沢ベース | 8分 |
| 16:50 | 大倉山の家 / ゴール地点 | 3分 |
全行程は25.7km、累積標高は登り2,286m・下り2,283m。所要時間は休憩込みで9時間44分。
スタート〜塔ノ岳——山の息吹を感じて
林道を進むと、朝の冷気と木々の香りが混ざり、意識が研ぎ澄まされる。落ち葉を踏みしめる音が心地よく、呼吸が自然と深くなる。塔ノ岳までは体も心もまだ余裕があり、呼吸のリズムに合わせて足を運ぶ。ここまでは静かな修行の序盤——心を整える時間だ。

塔ノ岳〜丹沢山——己の声を聴く
塔ノ岳山頂に到着すると、周囲の景色は壮麗だ。しかし山頂に立っても心はまだ静か。予定ではここで引き返すつもりだったが、直感が告げる——「今日なら蛭まで行けるかもしれない」。一瞬の迷いの後、ルート延長を決意。登山計画にはない挑戦、少しの反省を胸に、修験者の心で足を進める。

丹沢山〜蛭ヶ岳——絶望と集中
足場は険しく、鬼ヶ岩ノ頭の岩場は視覚的にも恐ろしい。鎖を使わなくとも慎重に歩けば問題はない、恐怖と集中が交錯する。ここで「恐怖を味わい、制御する」ことこそ修験の本質だ。
- 11:46 鬼ヶ岩ノ頭:足元に注意、一歩一歩を確認
- 12:09 蛭ヶ岳山荘到着:小休止、心身の充電
- 12:36 蛭ヶ岳山頂:一年間の成果がここに集約される瞬間
蛭ヶ岳山荘では名物「蛭カレー」を味わう。汗と達成感が混ざった体に、カレーの温かさが染み渡る。ここで立ち止まり、今日の山行をじっくりと振り返る時間も大切だ。



下山——暗がりに挑む修行
下山は日没との戦いだ。塔ノ岳までは戻れば安心と思ったが、バカ尾根の下りが体力を容赦なく奪う。薄暗くなる中、足元を集中して観察し、一歩一歩を慎重に踏み出す。修験の修行と同じく、「恐怖を認識し、制御しながら進む」ことが求められる。
16:50、ついに大倉バス停に帰着——今日の修行は無事完了。体は疲労で重いが、心は充実感で満ちている。


修験的振り返り
- 蛭トンは心身を試す道——計画、体力、精神力の総合試験
- 塔ノ岳・丹沢山での判断が安全の鍵
- 鬼ヶ岩ノ頭は恐怖を超える修行場
一歩一歩、岩と土を踏みしめながら歩くことで、体も心も鍛えられる。蛭ヶ岳は単なる登山ではなく、精神の修練の場であることを改めて実感した。
次は蛭ヶ岳山荘に泊まり、夜明けとともに山の静寂を全身で感じる——それが次なる修行だ。



